くるい きちがい考 なだいなだ著

古本屋さんで手に取って、中身が結構大事な内容だと感じ購入しました。「人間は誰でも異常で、異常か正常かの判断は単に尺度によるのだよ」という。以下大事だと思った部分を要約します。
正常か異常かという形容は「絶対的」ではなく「相対的」なもの。なのでその判断をする物差しの取り方が重要。其の物差しを社会全体の常識・平均という形で規定していると、全体から逸脱した時の自己を肯定しづらい。(此れが一般に謂う思春期)一方で物差しを自分の性質に根差した取り方で規定しておく方法がある。人間は全て平均からずれているから、自分個人として物差しを持っておく。自分自身の特別な、体重・伸長・趣味・価値観などを基にした物差しを持っておく。成熟するということは、此の「世間」の物差しから「個人」の物差しへ取り換えて行く過程である。
なるほど。なるほど。私も同じようなことを考えたことがあって。人間はきっと生まれてから大人になるまで、世間の価値観とぶつかる時期があって其れを乗り越えなければいけないんです。其処を苦労して乗り越えた人と、最初から何もぶつからなく通り抜けた人ではその後の人生が違うと思うんです。一度そういった経験をしておくと、その後の半生で幾度挫折しても歩き続けられる「復元力」を身に着けていると思うんです。
「復元力」という言葉は何だか茨木のり子さんみたいですね……。他人と自分を比較しないオリジナルな目盛りを持っておきたいと願うのでした。
2023/9/2