犯罪者 上・下 太田愛作

知り合いの方からお勧めされて借りて読みました。面白かった。話もspeedyで。主人公の男性が無差別殺人事件に巻き込まれて、しかし実際に其れは作為的なもので、以前或る事件の目撃者であった主人公を狙ったものでした。暗殺者に狙われながらも、大企業を相手取って過去の隠蔽された事件を暴くというストーリーです。話のテンポが凄い早いのね。アクションシーンも多く、攻守も二転三転します。読んでいてどんどん続きが読みたくなる。
ミステリーはエラリー・クイーンやアガサ・クリスティーなど古典的なものを読んだりしていたけれど、最近のミステリー小説も面白いんだな~と思いました。『犯罪者』はトリックを暴くというタイプのものではなく、前半は大きな謎があって、その謎を探索していくという流れです。後半は全ての事件の線が繋がって、黒幕と明らかになった大企業と一騎打ちをするという構成です。
全くの余談だけど、最近『花とアリス』を観ました。後半のballetのシーンがとっても美しくて、いいな~と思っていたら何時の間にか映画が終わってしまった印象。映画全体も日常の色んな風景を組み合わせた作りになっていて、其れは一貫性が無いという批判もされますが、私は其の何んとな~くの時間経過が結構好きだったりもするのです。では何故急に『花とアリス』の話題を今出すのか。『花とアリス』-→『花とアリス殺人事件』-→『犯罪者』というこじつけは余りに無理やりすぎるかな?単純に最近観た『花とアリス』を観た余韻がまだ残っているので、書いただけなのです。
2023/12/14

 

ラヴクラフト全集 1~5巻 H・Pラヴクラフト著

創元推理文庫に収められています。今調べて分かったのだけれど本当は全7巻なのね。古本屋さんで5冊セットで売っていたのでつい全5巻かと思って買ってしまいました。つまり私が読んだのは1~5巻までです。
ラヴクラフトは怪奇小説家でクトゥルー神話の生みの親とされている方です。"クトゥルー神話"という言葉自体は聞いたことある人が多いはず。様々なゲームや漫画や小説の原案に使われていたりします。
「何故ラヴクラフトは怪奇小説を主題として小説を執筆するのか?」について何となく分かったので書きます。ー-→ラヴクラフトの根底には、時間や空間を超越した私たちの日常生活では測れない物質や経験・存在が在るということを小説という形を借りて表現したいという願望があるのです。其の常識の埒外の事象を認識しようとするならば、私たちは当然畏怖や脅威、驚愕を伴わずにはいられないのです。なので、結果怪奇小説というジャンルに自己の表現方法を落とし込んだのです。私も事前知識無しで小説を読みましたが、「ホラー」というよりも「未知なる奇怪な体験」という印象を受けました。SFチックな感じもしますし。怪奇小説≠恐怖小説な気がします。一緒なのかな。私はちょっと区別がある気がしますが………。読んでいて感じるのは「怖さ」ではなく、未知のものを見てみたいという「知的欲求」なのです。
そうか全5巻じゃないのか……。全7巻だったのか……。なるほどね
2023/12/14